バックテスト結果
ロジックの詳細の前に、まずは本記事で紹介するロジックを実装したEAのバックテスト結果をお見せします。
USDJPYの4時間足で、2010年から2024年の約14年間の期間テストを実施しています。
ヒストリカルデータにはTick Data Suiteという、モデリング品質が99.9%という限りなく本番環境に近い形でバックテストをすることができるツールを使用しています。
結果としては、プロフィットファクターが7.11、総取引回数が1056回、最大ドローダウンが5%、勝率が87%とかなり良い数値を叩きだせていることが分かります。
移動平均線だけのロジックを考えてみる
移動平均線は数ある指標(インジケーター)の中で最も使われている指標です。
近年「複数のロジックを組み合わせて複合的に売買タイミングを判断する」というスタイルに変わって、「できるだけ少ないロジックを組み合わせてシンプルに売買タイミングを判断する」というスタイルが流行っている傾向にあります。
そこで本記事では「移動平均線だけで勝てる手法」をコンセプトにロジックを考えて、EA化、バックテストまでを行っていきます。
ロジック紹介
移動平均線だけといいましたが、1本の移動平均線だけでロジックを構築することはさすがに難しいため今回は6本の移動平均線を組み合わせてみたいと思います。
■エントリーロジック
今回はトレンド中の押し目買い・売りを移動平均線だけで実現します。
トレンド判断に3本の移動平均線、買われすぎ売られすぎの押し目判断にまた別の3本の移動平均線を使用します。
具体的には以下の画像のイメージです。買いの場合、長期の移動平均線3本(青色)の傾きで上昇トレンドを判断し、短期の移動平均線3本(赤色)のデッドクロスで売られすぎを判断し、最終的に赤矢印の箇所で買いのエントリーを実施します。
ポイントとしては、売られすぎの判断にデッドクロスを使用するという点です。
通常デッドクロスは売りのトレンド判断などに使用されますが、今回は短期移動平均線を使用することで、売られすぎを判断するのに使用します。通常RSIやBBを使って判断する部分ですが、今回は移動平均線のみを使用するというコンセプトのため、このようにしています。
売りエントリーは買いエントリーとは逆のことをするだけです。
エントリーのロジックとしては本当にこれだけですが、アクセントとして今回はナンピンのロジックを組み込んでいます。ナンピンは押し目買い押し目売りのロジックで特に力を発揮する、とても相性が良いロジックになっています。
■決済ロジック
決済ロジックは単純に、保有中のポジションの利益が〇pipsを超える、もしくは□pips以上の損害が発生するときに決済を実行するという、非常にシンプルなロジックを採用しています。
それ以外の決済ロジックは一切使用しません。
まさにシンプルイズベストです。
複利でやるとどうなるのか
冒頭でバックテスト結果を公開していますが、複利機能を使用した結果も紹介します。
複利機能ですので、最大ドローダウンは12.55%と、単利に比べて大きな数値になってしまっていますね。
ただ純益が100万円から約6億9千万と、14年間で690倍にも膨れ上がっていることが分かります。
改善点
4時間足を使用しているためしょうがないですが、14年間で取引回数が1000回前後のため、人によっては物足りなく感じるかもしれません。
ただこのEAを叩き台にして、1時間足でテストしたり、また別の通貨ペアでテストすることでさらに精度を伸ばせることが期待できます。
その他特別改善したほうがいい点は無く、移動平均線だけのロジックとしてはかなりいい結果が出せたんじゃないかと思います。